ムネカワの製作風景 - ミニキーケース「Pivot」の製作
日々の暮らしに欠かせない「鍵」を、よりコンパクトに、心地よく持ち歩く。 そんな想いから生まれたのが、ムネカワの新作ミニキーケース「Pivot」です。 「キーケースの最小単位」を目指し、薄さと軽さ、そして使い心地を追求したこのアイテム。今回は、そんなPivotの工房での製作風景をご紹介します。 ▶︎ミニレザーキーケース"Pivot"のご注文はこちらから 「鍵のシルエット」ギリギリに合わせたデザイン Pivotの製作は、「可能な限り鍵のシルエットに近づける」というシンプルな目標から始まりました。 都心部の方で車に乗らない方や、「鍵は1〜2本、必要最低限のものだけでOK」という方に向けて「もっと小さなキーケースがあったら喜んでもらえるのでは」と考えたのが製作のきっかけでした。 ポケットやバッグの中でかさばらず、それでいて鍵を優しく保護する。そのために、余分な装飾を削ぎ落とし、限りなくミニマムなデザインを試行錯誤しました。 いくつも試作品を作り、実際に使ってみて、気になる所や違和感をブラッシュアップすること数ヶ月。 こうして生まれたPivot。キャッシュレス化が進み「必要なものだけをコンパクトに持つ」ミニマリスト指向のライフスタイルにも自然に馴染む、ミニマルなデザインのキーケースになりました。 製作工程から見る、Pivotを形作る4つのポイント Pivotのシンプルな佇まいは、一つひとつの細やかな工程によって支えられています。ここではPivotに欠かせない「製作のポイント」をご紹介します。 1. 金具には小さな「ギボシ」を採用 製作当初、Pivotを限りなくコンパクトにするためにネックとなっていたのが「金具」でした。一般的なホックボタンで留める形式にすると、どうしても厚みや凹凸ができてしまい、イメージする小ささに収められなかったのです。 そこで思いついたのが「本体の側面に小さいギボシをつける」ことでした。ギボシを採用することで、全体に厚みが出ず、鍵が飛び出さずにまとめられる構造が実現できたのです。 ポケットの中で他のものに引っかかるストレスがなく、シンプルながらも確かな固定力があり、開け閉めの所作もスムーズ。 毎日使うものだからこそ、心地よく使える金具を選んでいます。 2. 縫製をなくすことで故障のリスクを減らす 革の型取りと裁断はコンマ数ミリ単位の精度が求められます。鍵の形状に沿って、わずかな余白も見逃さずに設計された曲線は、手にした時の心地よいフィット感を生み出します。 Pivotのもうひとつの特徴、それは縫製を全く入れていないという点です。 「縫製を入れるとより丈夫になる」というイメージを持ちがちですが、縫製が多ければ多いほど、糸切れを起こす箇所が増えるということになります。 ムネカワでは縫製は必要最低限の箇所にとどめ、できる限り故障しにくく、長く使ってもらえる製作を心がけています。 縫製を入れない分、革のパーツを貼り合わせる「圧着」の工程が、製品の寿命を左右する非常に重要なポイントとなります。 外側はイタリア産ブッテーロ、内側には擦れや汚れに強い日本産の豚革を使用しており、2枚の革を圧着する際は、適切な圧力・ノリの量で、革の断面が一体化するほど強力に圧着しています。 これにより、長年の使用でも裏地が剥がれてくる心配がなく、薄さと耐久性を高いレベルで両立させています。 3. 金具も一つ一つ自分たちで磨いています 鍵をまとめる小さな金具も、大切な要素です。私たちは、この金具を「リューター」という道具で一つひとつ手作業で磨き、滑らかに仕上げています。...