私たちは、大阪・大国町のアトリエで革製品を製作しています。
日々製作をする中で感じるのは、革という素材が持つ普遍的な魅力です。
革には、時代や流行が移り変わっても人々の暮らしに寄り添い続ける不思議な力があると感じます。
今回はそんな革の歴史を簡単に振り返りながら、いま注目されているトレンドや、これからの革との向き合い方について考えてみたいと思います。是非最後までご覧ください。
革が時代を超えて親しまれる理由
革は、丈夫で長持ちする素材として古くから利用されてきました。加えて、使ううちに風合いが変化していく特性があり、暮らしのなかで少しずつ自分に馴染んでいく感覚が味わえます。
また、革は修理や手入れがしやすく、長く使い続けられる点も大きな魅力です。破れたり擦れたりした場合でも、修理してまた使えるようになる場合が多いです。
壊れても修理がしやすく、傷や擦れを味や個性として楽しめるのが革の大きな特徴のひとつと言えます。
このような性質から、実用品としてはもちろん、持ち物に個性や愛着を求める人々にも支持されてきました。長く使うほどに深まる魅力が、革製品が今も多くの人に選ばれている理由のひとつなのでしょう。
時代ごとに見る革製品の変遷
古代・中世：実用性が中心だった革文化
革の歴史をたどると、まずは馬具や防具など、道具としての実用的な使い方が中心でした。
たとえば、Munekawaでも使用しているブライドルレザーは、耐久性と防水性を高める加工が施されており、長時間の使用にも耐える素材として重宝されてきました。
Munekawaではブッテーロやブライドルレザーをはじめ、昔ながらの植物タンニンなめし製法で作られた革を多く取り扱っています。
自然の樹木から採れるタンニンを使い、じっくりと時間をかけて革をなめすこの手法は、先人の知恵が詰まっています。
中世の人々が、限られた資源の中で生活に必要なものを丁寧に作り、手入れしながら長く使っていたことを思うと、植物タンニンなめしの革が持つ質感や香り、経年による変化には、そうした時代の価値観が今も宿っているように思います。
近現代：ファッションとして広がる革製品
産業革命をきっかけに大量生産が進み、革製品はより手に届きやすい存在となりました。
ジャケットやバッグ、財布などが一般にも広く普及し、革は「上質な素材」としての位置づけを確立していきます。
今では人気の高いコードバンも、かつては馬具などの耐久性が必要なものに使用されていました。
その希少性の高さから徐々に高級品としての認知を高めていくことになったのは比較的近年になってからなのですね。
しかし、技術の進歩により大量生産による量産品が増えていく一方で「一点ずつ丁寧につくられたもの」に価値を感じる方が増えていきます。
「妥協なく堅牢で緻密に作られたもの」
「作り手の意図や考えに共感できるもの」
そういったものの中から自分に合うものを選び、一つのものを長く使うことが人生を豊かにする、という考え方です。
Munekawaも少人数で製作を行う工房ですが、「長く愛用してもらえる革製品を作る」というブランドコンセプトのもとに、日々革製品を製作しています。
たとえばステッチ一つを取っても、縫い目の間隔や糸締まりに気を配り、見た目の美しさと実用性を両立させる工夫を欠かしません。
手間はかかりますが、その積み重ねが、手に取ったときの質感や、使い込んだときの風合いに確かに表れてくると感じています。
こうした製作の姿勢を通じて、革そのものが持つ力を引き出しながら、長く愛されるものを届けていけたらと考えています。
現代：サステナブルでミニマルなデザインへ
近年は、サステナブルな視点から革の価値が見直されつつあります。天然素材であり、長く使えるという点が、環境負荷の軽減につながるという考え方が広まり、消費者の意識も変化してきました。
同時に、日常生活の変化も革製品のあり方に影響を与えています。
キャッシュレス決済の普及によって、小さくて薄い財布やカードケースが主流になりつつあります。
必要最小限を持ち歩くという考え方に合わせて、無駄を削ぎ落としたミニマルなデザインが支持されるようになりました。
Munekawaでも、そうした時代の流れに合わせて、使いやすさと革の風合いを両立させた製品づくりに取り組んでいます。
薄さや軽さ、機能面だけでなく、触れたときの質感や見た目の落ち着きにも気を配り、革そのものの魅力が自然に伝わるよう心がけています。
参考：特集ページ Munekawa's craftsmanship
これからの革製品のトレンド
革製品に求められる価値観は、時代とともに少しずつ変化しています。これからの時代、どのような革づかいが広がっていくのでしょうか。現在予測されている「革製品のこれから」についてご紹介します。
1.パーソナライズの重要性
今後は名入れやセミオーダーなど、自分だけの特別感を楽しめるパーソナライズの需要が高まると予想されています。ギフトとしても人気で、相手への思いが伝わる特別なアイテムとなります。
2.環境負荷を抑えた革づくり
リサイクルレザーや新しい加工技術を採用したエシカルな製法も進化しています。私たちも伝統技術を尊重しつつ、新技術を取り入れた革製品を開発し、時代のニーズに応えていきます。
これからの革製品は、素材やデザインだけでなく、その背景にある考え方や姿勢までも含めて選ばれる時代になっていくのかもしれません。
まとめ
革製品は、長く使うことで深みが増し、自分だけの風合いに育っていく素材です。日々の生活に自然と馴染み、使うたびに少しずつ愛着が増していくのも革ならではの魅力だと感じます。
時代や価値観が変わっても、丁寧につくられた革製品の良さは変わりません。
Munekawaでは、そんな革の魅力を活かしながら、使う人の暮らしにやさしく寄り添う製品づくりを心がけています。
革製品を選ぶときは、素材や仕立て、そして自分の使い方に合っているかを意識して選んでみてください。きっと、長く使いたくなる一品と出会えると思います。
