革の日光浴はおすすめできる?日焼けが革にもたらす変化と作り手の考えをご紹介します
季節は夏になり、すっかり日差しが強くなってきました。 革製品について、時々「革を日光浴させてエイジングを進めることはできますか?」という質問をいただくことがあります。使い始める前の革にあえて日光を当てて、色の変化を早く進めるという方法です。 たしかに、紫外線は革のエイジングを進める要素のひとつです。しかし、Munekawaでは意図的に革に強い日差しを当て続けることはおすすめしていません。長期的な視点で見ると、革の寿命を縮めるリスクの方が大きいと考えています。 Munekawaが革の日光浴をおすすめしない理由 日光浴は、使い始める前の革をしばらく日に当てて、色を深めたり日焼けによる変化を先に進めたりする方法として、Webサイトなどで紹介されていることもあります。 確かに、日光を当てることでエイジングが早く進むことはあるでしょう。ただ、作り手である私たちの立場としては、革を意図的に日に当てることに良いことはあまりないと考えています。 その理由は、大きく2つあります。 乾燥が進み、ひび割れのリスクが高まる 紫外線によって色抜けや退色が起こる 革に強い日差しに当て続けると、乾燥して水分や油分が抜けて硬くなります。その状態のまま使い続けると、折り目や角からひび割れにつながることもあります。 また、紫外線は革の色を褪せさせる原因にもなります。特に色物の革では退色の影響が大きく、せっかくの鮮やかな色をわざわざ損なってしまうことにもなりかねません。 色は確かに変わるのですが、革色によっては色褪せたようになってしまい、思ったようなエイジングにならない可能性もあります。 光に晒され続けた革はどう変化するのか わかりやすい例が、百貨店などの店頭で長く展示されているサンプル品です。常に照明の光に晒されている革製品は、タンニンなめしの革であれば、どの色でも少しずつ茶色味を帯びていきます。 ブッテーロのような植物タンニンなめしの革は、革に含まれるタンニンが紫外線の影響を受けて変化するため、光に当たると色が変化していきます。生成りの革が飴色に変わっていくのも、同じ理由によるものです。 照明の光でもこうした変化が起こるのですから、より強い日光の下では、その変化はなおさら強いものになります。 紫外線は確かにエイジングを進める要素のひとつですが、過度に光に当てすぎると、やはりデメリットが大きくなると考えた方がよいでしょう。 日焼けとエイジングは似て非なるもの 「日光がエイジングの要素のひとつなら、やっぱり日光浴はエイジングの近道になるのでは?」と思われるかもしれません。 しかし、綺麗な革のエイジングは、光だけでなく、手の油分や使用する中でついた小さな傷や摩擦、空気や湿度などの影響が少しずつ重なって、長い時間をかけて自然と起こるものです。 日光浴による日焼けは、確かに色は変わるのですが、光と乾燥の影響しか受けていないため、使い込んだ革のようなしっとりとしたツヤや、手に馴染むしなやかさまでは得られません。長く展示されたサンプル品の色は深くなりますが、大切に使い込まれた革とは表情が違います。 革の美しいエイジングは、日々使うことの積み重ねから生まれるもので、だからこそ長く使った革製品には価値があるのだというのが、私たちの考えです。 ▼関連記事「ブッテーロのエイジング ムネカワの製品で見る、各色の変化の様子をご紹介」 カーテン越しの光でも十分 それでも「新品の革の色を早く落ち着かせたい」「変化を感じてみたい」という方もいらっしゃると思います。 その場合は、直射日光ではなく、カーテンを一枚挟んだ間接的な光に短時間当てる程度にしておきましょう。カーテン越しの光でも、革の色の変化は十分に感じられます。 直射日光での日光浴を試す場合は、乾燥によるひび割れや色抜けのリスクを理解したうえで、自己責任の範囲でお試しください。また、長時間当てたままにせず、終わったあとは乾拭きをして、乾燥が気になるときはケアクリームで油分を補ってあげるとよいでしょう。 ▼関連記事「革を育てる、お手入れの基本-使い始めから定期メンテナンスまで レザーケア入門ガイド」...