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「革についてもっと知りたい」

そう思ったことはありませんか。

財布、バッグ、キーケース、普段何気なく触れている「革」という素材。

身近にある存在ですが、あらためて振り返ってみると、意外と知らないことがたくさんあるかもしれません。

この特集では、革のなめし方や、表情など「知っておくとより革との付き合い方が楽しくなる」基礎知識をご紹介します。

Chapter.1

革ができるまで

「なめし」という工程

革製品を手に取ったときの手触りや深い色合いに惹かれる方は多いと思います。しかし、その一枚の革がどのようにして生まれるのかご存知でしょうか?

革は、食肉の副産物として得られる動物の「原皮(げんぴ)」を原材料に作られます。

原皮はそのままでは硬くなったり腐敗したりしてしまうため、天然素材や化学薬品などのなめし剤を使用して、柔軟で丈夫な「革」に加工します。この工程が「なめし」 と呼ばれるものです。

▶︎関連ページ:Munekawaの「革」

クロムなめしと植物タンニンなめし

現在主流のなめし方法は、大きく分けて2つあります。

植物タンニンなめし

樹皮や果実から抽出した天然の渋(タンニン)を使い、数週間から数か月かけてじっくりと革をなめす伝統的な方法です。手間も時間もかかりますが、その分、革が本来持っている風合いがそのまま残ります。

一番の特徴は、使い込むほどに色が深まり、艶が出てくること。これが「経年変化(エイジング)」と呼ばれる、植物タンニンなめしならではの現象です。

◾️Munekawaで使用している革

  • ブッテーロ
  • ブライドルレザー
  • コードバン

クロムなめし

塩基性硫酸クロムという化学物質を使って、短時間で効率よく仕上げる方法です。柔らかく、色鮮やかで、扱いやすい革になるのが特徴です。世界で流通する革の約8割がこの方法で作られており、最も広く使われているなめしです。

色や艶など、表面の仕上がりが均一で、使い込んでも経年変化が比較的少なめなのが特徴のひとつです。

◾️Munekawaで使用している革

  • トリヨンラグーン
  • エプソン
  • JOY

「ヌメ革」とは?

「ヌメ革」という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。ヌメ革とは、植物タンニンなめしを施したあと、過度な染色や表面加工をほとんど行わない、素に近い状態の革を指します。

生成りの革を指す言葉として使われることもありますが「生成り=ヌメ革」というわけではありません。

また、植物タンニンなめしで作られた革でも、表面に強い加工が施されているものなど、ヌメ革に分類されない物もあります。

ヌメ革は、植物タンニンなめし特有の、革本来の自然な風合いををもっともストレートに体感できる革素材と言えるでしょう。

Chapter.2

革の個性を知る

新品の革製品を手にしたとき、表面にうっすら見えるシワや筋のような模様。

「これは傷? 不良品?」と感じる方もいるかもしれません。

しかし、それらは革が「天然素材」であることの、なによりの証です。

トラ

革の表面に見られる、波のような大きなシワ模様を「トラ」と呼びます。これは主に首や肩など、動物が生きているあいだによく動かしていた部位に現れるものです。繊維の流れ方によって模様は一枚一枚異なり、まったく同じ模様はこの世に2つとありません。

キズ

動物が生きていくなかで、木にこすれたり、虫に刺されたりしてできた小さな傷跡です。なめしの工程を経てもうっすらと残ることがあり、革の表面に小さな点や薄い線として見えます。

血筋

皮膚の下を走っていた血管の跡で、革の表面に細い筋のように現れることがあります。特に薄い色の革や、表面加工が少ない革で目にすることが多いです。

「均一でない」ことが価値になる

こうした自然の痕跡は、工業的に均一化された素材にはない、一点ものの個性です。Munekawaでは、革を裁断する前に一枚一枚、目と手で革を確認し、製品として使用する部位を見極め、強度に問題がないか、表情として美しいかを判断しています。

トラや血筋を「排除するもの」ではなく、「革の個性」「革の歴史」として受け入れること。それは、天然素材を選ぶということの本質でもあります。機械的で均一な美しさとは異なる、革だけが持つ豊かな表情も、革の魅力のひとつと言えるでしょう。

Chapter.3

「革」が「革製品」になる瞬間

革製品の良し悪しは、革そのものの品質だけでは決まりません。

裁断した革をどう仕上げるか。

その細部の処理が、製品の見た目、手触り、何年先まで使えるかを大きく左右します。

コバ ― 革の断面が語ること

「コバ」と革を裁断したときの断面(切り口)のことです。コバは未処理のままだと繊維がほつれ、水分や汚れが染み込みやすくなるため、薬剤を塗り磨き上げることで、切断面を綺麗に加工します。これを「コバ処理(コバ磨き)」といいます。

コバをしっかりと磨き上げることで、製品の耐久性が高まるだけでなく、手あたりが良くなり、製品そのものの印象をグッと引き上げる効果も持っています。

断面の仕上がりが丁寧かどうかは、その製品にどれだけ手間がかけられているかを知る手がかりになります。美しいコバは時間をかけて丁寧に作られている証と言えるでしょう。

店頭で革製品を手に取る機会があれば、ぜひ一度、裁断面(コバ)を眺めてみてください。

漉き ― 厚みを整えるという技術

革は天然素材なので、部位によって厚みが異なります。背中のあたりは厚く、腹側は薄いといったように、一枚の革の中でも均一ではありません。

この革を、製品の各パーツに求められる厚みへと調整する工程が「漉き(すき)」です。専用の機械や刃物を使って、革の裏側を削り、必要な厚さに整えていきます。時には0.1mm単位での調整が必要になることも。

漉きが適切に行われた製品は、手に持ったときの重さやフィット感が自然で、「なんとなく持ちやすい」と感じることが多いです。目に見えにくい工程ですが、革の厚みがきちんと管理されているかどうかは、製品全体の完成度に直結しています。

▶︎関連記事:Munekawa’s Craftsmanship

Chapter.4

革と長く付き合う

革のもう一つの特徴、それが「長く使える素材」であること。

丁寧に使うことで、10年、20年と変わらず使うことができる上に、

時が経つほどに表情の変化(エイジング) を楽しむことができます。

なぜ色が深まり、艶が出るのか

植物タンニンなめしの革は、紫外線や手の脂、日常的な摩擦によって、タンニンの成分が酸化し、繊維が圧縮されていきます。その結果、色味はより深く濃くなり、表面には自然な光沢が生まれます。これを革の「エイジング」と呼びます。

半年、一年と使ううちに新品の時にはみられなかった持ち主だけの表情を帯びていく。革を「育てる」という表現が使われるのは、このためです。

エイジングは放っておいても進みますが、適度なケアを施すことで、より美しく変化していきます。定期的にブラッシングでホコリを落とし、乾燥が気になればクリームで油分を補う。それだけで、革は美しく年を重ねてくれます。

▶︎関連記事:革のお手入れの基本

「長く使える」という価値

長く使っていれば、糸がほつれたり、金具が緩んだりすることもあります。「買い替える」のではなく「直して使い続ける」という選択ができるのも、しっかりとした素材と構造で作られた革製品ならではの魅力です。

近年「サステナブル」という言葉が広く使われるようになりましたが、革はまさにサステナブルな素材だと私たちは考えています。

食肉の副産物として生まれ、耐久性に優れ、長く使うほどに経年変化を楽しめる素材。そんな革の持つ一つひとつの要素が、「一つの物を長く使う」ことの豊かさを支えています。

▶︎関連記事:環境への取り組み

Chapter.5

革に関するよくある質問

「ヌメ革」と「タンニンなめし革」は同じものですか?

厳密には異なります。タンニンなめしは加工方法の名称で、ヌメ革はタンニンなめし後に染色や表面加工をほとんど施していない状態の革を指します。すべてのタンニンなめし革がヌメ革ではありませんが、ヌメ革はすべてタンニンなめしです。

植物タンニンなめしの革の方が、クロムなめしの革より優れているのですか?

そんなことはありません。クロムなめしは柔軟性、耐水性、発色の良さに優れた合理的な方法です。用途や好みによって最適ななめし方法は異なります。Munekawaでも製品の使われるシーンに合わせて植物タンニンなめしの革とクロムなめしの革を使い分けています。

トラや血筋が気になります。交換してもらえますか?

トラや血筋は天然素材ならではの個性であり、品質上の問題ではないため、原則として交換の対象とはなりません。ただし、明らかな傷や不具合がある場合はお気軽にお問い合わせください。

革製品を選ぶとき、最初に見るべきポイントは何ですか?

まずは「どんななめしの革か」を確認することをおすすめします。経年変化を楽しみたいなら植物タンニンなめし、柔らかさや発色の良さを重視するならクロムなめしと、目的によって最適な革は異なります。そのうえで、コバ(断面)の仕上げ、縫製の丁寧さ、金具の操作感など、実際に手に取って確かめられる部分に注目してみてください。

▶︎関連記事:良い革製品を選ぶためのポイントとは?素材・縫製・機能性の見極め方を解説

同じ革なのに色や質感が違うのはなぜですか?

天然素材である革は、原皮の個体差、使用される部位、なめしのロットによって、色味や質感に微妙な違いが生まれます。これは工業製品とは異なる、天然素材ならではの特性です。同じ革種でも「まったく同じ」にはならないことを、一点ものの個性として楽しんでいただければと思います。

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