「長く使える革製品」と聞いて、どのような物を思い浮かべますか?
高級な素材を使用している。
機能的で斬新なデザイン。
目を惹く鮮烈なカラー。
確かにそれらも魅力的な要素ですが、本当に優れた革製品は細部や目に見えない裏側にも職人のこだわりが込められています。
この記事では、日々革に向き合う私たちの視点から、「長く使える革小物」を選ぶ際に注目すべき5つのポイントをご紹介します。
これから革製品の購入を考えている方はもちろん、すでにお気に入りのアイテムを持っている方も、是非参考にしてみてください。
1. 本革で作られている
長く使える革製品を持ちたい方は本革の製品を選びましょう。
合成皮革は水濡れや汚れに強い、安価で手に入れやすい、お手入れの必要がない、などのメリットがありますが、耐用年数は短く、一般的には3年程度と言われています。
一方、本革は合成皮革に比べると高価ですが、使い方と手のかけ方次第で10年、20年と使用できます。
傷や日焼けなどを経て徐々に革の風合いが変化していきますが、こうした変化(エイジング)も革の持つ魅力のひとつ。
使い続けるにつれ深まる色ツヤは、時間が経てば経つほど離れ難い愛着を感じさせてくれます。
「人生を長く共にできるような革製品を持ちたい」という方は、是非本革の製品を選んでみてください。
2.縫製が丁寧で堅牢
革製品の縫製は、単に糸で留めるだけの作業ではありません。
素材の厚みや質感に応じてミリ単位で針の角度や間隔を調整します。
縫い目は均等か。
ほつれや浮きはないか。
力が集中する箇所には返し縫いをして強度を上げる。
そうした細やかな工夫が、使い続ける中での耐久性を大きく左右します。

特に角の部分や開閉頻度の高い箇所などは、負荷がかかりやすく、強度が求められる場所です。こうした部分が堅牢に作られているかが、長く使える製品のひとつの指標になります。
完成度の高い製品は、縫製が綺麗で堅牢なのはもちろん、革と糸の相性や、縫い終わりの処理の丁寧さなど、さまざまな面で配慮されています。
革製品を選ぶ時は、縫製の丁寧さもチェックしてみてください。
3. コバ処理が丁寧にされている
「コバ」とは、革の断面部分のこと。
ここをどう仕上げるかで製品の耐久性や手ざわりが大きく変わるため、コバの処理も良い革製品を見極める時の指標のひとつです。
丁寧な製品では、この断面を滑らかになるまで何度も磨き、染色や艶出しなどの処理を施します。結果として、コバが裂けたり、革の層がバラけることを防げます。
見た目にも美しく、手で触れたときに引っかかりがない。そうしたコバの仕上がりは、簡単にはできません。時間をかけて作られた証です。
財布やカードケースのフチを指でそっとなぞってみると、そこに込められた職人の手仕事を感じ取れるのではないかと思います。
4. 少ないパーツでシンプルにデザインされている
少ないパーツでシンプルで作られていることもポイントのひとつ。
それはデザイン面だけでなく、耐久性や機能性の面でも大きな意味を持ちます。
装飾やパーツが増えれば増えるほど堅牢で丈夫になる、と思われがちですが、パーツが増えればそれだけ故障するリスクの箇所が増えるということになります。
必要な機能だけを残したシンプルな設計は、経年による劣化も最小限に抑えることができます。
また、シンプルなデザインだと長く使っても飽きが来ず、幅広いコーディネートで楽しめるのもメリットです。
日々の生活のなかで、無理なく自然に使い続けられるか。その視点を大切にしてみてください。
5. 裏地にも革を使用している
製品の裏地は、外からは見えにくい部分だからこそ製品の品質が現れる場所です。
全ての革製品にあてはまるわけではありませんが、内側にも革を使用することで強度が高まり、型崩れしにくくなります。
革財布の札入れや小銭入れ部分に革を使用しているものは、滑りが良く取り出しがスムーズになるというメリットも。

こうした工夫は、誰かに見せるためではなく、使う人のためだけにあるもの。使い手に寄り添う気持ちが、製品の見えない部分に込められています。
革製品を選ぶ時は裏地にも注目してみるのがおすすめです。
長く使えるお気に入りと出会うために
いかがでしたでしょうか。
今回ご紹介したポイントはMunekawaでも製作の時に大切にしているポイントですが、Munekawaだけに限らず、全ての革製品に共通して言えるポイントです。
革小物は長く使うことでより価値を発揮するもの。
それだけに、購入した後に後悔することがないよう、革小物を選ぶ際の参考にしていただけると嬉しいです。