革は、使い続けるうちに色や質感が変化する素材。革のエイジング(経年変化)は、革製品を使う醍醐味のひとつでもあります。
ただし、安心して革製品を使う上で、知っておきたいこともいくつかあります。そのひとつが、革の「色落ち・色移り」についてです。

革は、気温や天候の急激な変化によってこうした色落ち、色移りのトラブルが起こることもあります。
今回は、革製品の色落ち・色移りが起きる仕組みや、素材別の傾向、予防のポイントについてご紹介します。
安心して革製品を使うためにも、ぜひ知っておいてください。
革の色落ち・色移りが起きる仕組み
革製品の色移りは、主に「水分」と「摩擦」が重なることで起こります。
革は染料や顔料を使って染色をしています。革が濡れた状態で衣類などで擦れると、これらの成分が表面に浮き出し、色落ち・色移りが発生してしまいます。

天然の素材である以上、色移りを完全にゼロにすることはできません。ただ、どんなときに起きやすいのかを知っておけば、日常の中で十分に防ぐことができます。
革の色落ち・色移りが起きやすい場面
色移りには、起きやすくなるいくつかの条件があります。
1.革が濡れている時

多くの革素材に共通するのが、水分を含んだ状態で擦れると色移りが起きやすくなるという点です。
雨の日にバッグと衣類が密着したままだったり、汗をかいた肌と長時間触れ合うような場面では注意が必要です。
2.デニムなど濃色の衣類と接触している時

ジーンズをはじめとする濃い色の衣類は、生地側の染料が革に移ることがあります。特に、夏場など湿気や気温が上がる時期には注意が必要です。
とくにプレーン色のヌメ革など、淡い色の革は影響を受けやすいので「ポケットに財布やキーケースを入れて持ち歩く」という方は気をつけておきましょう。
3.使い始めの時期

新しい革は表面の染料や油分が完全に定着しておらず、革の種類によっては色落ち・色移りが起こりやすい傾向があります。
使っていくうちにしっかり定着し、気にならなくなりますが、使い始めは明るい色の衣類との組み合わせを控えるなど、少し注意しておくとより安心です。
革の種類別に見る色移りの傾向
革の種類によっても色移りの起こりやすさは変わります。ここでは色移りのしやすい革・しにくい革について見ていきましょう。

マレンマ・コードバン
マレンマやコードバンなどの油分の多い革は色移りしやすいため注意が必要です。特に使い始めの時期は色移りが起きやすいため、色の薄いパンツポケットに収納するなどは控えましょう。
コードバンは革の中でも特に水濡れに弱い性質を持っています。色落ちや色移りはもちろんですが、水ぶくれや水シミも起こりやすいので取り扱いには十分注意してください。
ブッテーロ・ブライドルレザー
ブッテーロやブライドルレザーも比較的油分が多いため、使い始めの時期に色移りが起こることがあります。日常的に使っていくなかで表面が整い、色移りは起こりにくくなります。
クロムレザー
クロムなめしの革は、染料の定着が安定しているため、色移りはほとんどありません。衣類との接触を過度に気にする必要はないでしょう。
ただし、クロムレザーであっても水に濡れている状態で摩擦が起こると色移りする可能性はあります。
革は本来水濡れに弱い素材であるということは共通して注意しておきたいポイントです。
色移りを防ぐために気をつけたいポイント
色移りを完全に防ぐことは難しいですが、いくつかのポイントを意識するだけでリスクは大きく減らせます。
雨の日は革と衣類の密着を避ける

水分が付着した状態で革がこすれ合う時が、もっとも色移りが起こりやすくなります。
雨の日はバッグの持ち方を工夫したり、財布をポケットではなくバッグの内側に入れたりするなど、少し工夫するだけで水濡れのリスクを抑えられますので、意識してみてください。
使い始めは衣類の組み合わせに注意する

新しい革は表面の染料が安定するまで少し時間がかかります。使い始めの時期は、白や淡い色の衣類との組み合わせに気を配ると安心です。万が一色移りをしてしまった場合は早めに洗濯するようにしてください。
また、衣類から革への色移りを避けるために、特に夏場や雨の日は、淡い色の革をデニムパンツのポケットに入れるのを控えるようにしましょう。
その他、衣類の洗濯表示を確認し、色落ちする可能性のある衣類と革が触れないようにする工夫をしておくとより安心です。
防水スプレーを活用する

革専用の防水スプレーをあらかじめかけておくと、水分の浸透を抑え、色移りのリスクも軽減できます。使い始めのタイミングで一度かけておくのがおすすめです。
ただし、革によっては防水スプレーが向かない素材もあります。必ずスプレーの注意事項を確認し、使用できるものを選んでください。
まとめ
革の色は、見た目の印象やエイジングの変化だけでなく、色移りのしやすさとも関わっています。素材ごとの傾向を知り、使い始めの時期や雨の日の扱い方を少し意識するだけで、色移りのリスクは大きく下げられます。

「色移りが心配だから」と革製品を避けるのではなく、仕組みを理解したうえで、うまくつきあっていく。それが、革を長く楽しむためのコツです。
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